思い出
私が院生のころ,よく教授が「実験がうまい人は料理もできる」と話をされていました.
いまになって実験と料理の共通点を考えてみてもそうかなと思えます.
実験と料理の共通点には
・実験なら反応時間と反応温度の管理:料理なら加熱時間や加熱温度の管理
があると思います.
最低でもこの2点ができるなら食べられないものにはならないし,もう一度同じものを作ることもできると思います.
最初の「実験がうまい人は料理もできる」ことの理由には,実験で身につく能力と考え方が影響しているのではないかな.
まず「粉末や液体の見た目から重さと量がほぼわかる」能力が身につきます.
特に少ない量がよくわかります.
これは塩や砂糖,醤油など調味料の加減に使えます.
そして「実験の操作手順とその仕組み」を考えるので,料理の作り方でも操作手順と仕組みがわかれば,うまく料理できると思います.
しかし,料理には実験でまず使わない量の表記があります.
”適量”です.
適量のなぞ
適当な量であることはわかりますが,gやml(cc)表記でないのでわかりません.
少し調べてみると,塩や砂糖であれば”ひとつまみ”であることがわかります.
適量を知らない人ならスプーン一杯とか,ものすごく少ない量にしたり,ものすごく量に幅のでそうな部分です.
もしかすると料理が苦手な人は,ここで失敗しているかもしれません.
とりあえず,つまむことさえ覚えておけば大丈夫な気がします.
しかし,ひと”つかみ”と覚えてしまったらおしまいです.
他にも料理で困るのは,強火や中火,弱火といった火加減です.
これも考えるだけわからなくなってしまうことはないですか?
適量ってなんだと引っかかる人や料理が苦手な人がいたら,この本が参考になると思います.
「チューブの生姜適量ではなくて1cmがいい人の理系の料理」五藤隆介 著
料理のレシピには”適量”が多いです.
塩や胡椒など味をととのえるために使うものが特にそうです.
適量と料理で重要なことを著者はこのようにまとめています.
52ページより引用
1 「塩・胡椒:適量」は,「トンカツソースはお好みでどうぞ」というのと本質的には「同じ意味」だった
2 料理を覚えていく最初の段階で重要なのは,「自分が知ってる感覚」と「料理の感覚」を繋げていくこと
3 料理の感覚を身につけていくときには,客観的な「数字」を意識して料理を作ってみるのが近道
お好みでどうぞと同じ意味という考えは,そうだなと思いました.
人によって味の好みが違います.
だから,感覚だけで量を決めるのではなく,じぶんで食べて量を加減する必要がでてきます.
著者は味見の重要性にもふれています.
料理の時にはしっかり味見をしながら,
少しずつ調味料で味を良くしていきましょう.
全体を通して,適量の説明や食材保存(冷凍・冷蔵)の仕組み,火加減の方法など,理系とあって詳しく書かれています.
料理全般で感じる疑問に答えた本であるとも思います.
少し読んでおくと,知識としてさっと答えられるかもしれません.
”きつね色になるまで”(きつねの種や個体差があるから想像しづらい)や
”しっかり火が通るまで”(焦がしやすい)
もどこまでやったらいいのかわかりにくい表現です.
しかし,残念ながらこの本には載っていませんでした.
こんな表現になってしまうのは,使う材料によって見た目と加減が違うからだと思っています.
とにかく,理系の人なら読んでみて損はありません.
理系目線で料理を考えるとこうなるだろうと思えます.
ただし,料理上手な人や工学系を修めている人には物足りない説明もありそうです.
さらなる疑問
適量がわかったら,つぎにその量に入っている成分量が気になりませんか?(知的好奇心)
特に食材の糖質について,当サイトでは細かく計算しています.
糖質制限中の人,糖質制限に興味がある人にオススメです!
(クリックすると、リンク記事が新しいタブで開きます)
是非読んでみてください!
もりけろでした.