アボカドの成分と機能性について文献を調べました|食材の栄養

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注意書き

・学術論文の情報をまとめて,私の考察を加えています.
・学術論文からの引用箇所は「””」で区別しています.
・より詳しく知りたい時は,原著論文(下記リンク先)をご確認ください.
・表現や表記の誤りがあるかもしれません.
⇒もし不備等ございましたら,コメント欄からお願いいたします.

アボカドとアルツハイマーの文献は,今まで言われていたビタミンEとは違う視点から研究された結果です.
ぜひ読んで見てください!

生理活性

生体内化学物質が生体の特定の生理的調節機能に対して作用する性質のこと

wikipedia:生理活性

ここでは,生体外から取り入れたもの(食べ物や化学物質)による生理的調節機能を含めています.

アボカドの食物繊維と抗酸化作用|種子,果皮,果肉

アボカドは果皮を剥くと,すぐに茶色・黒色に変色(褐変)します.より身近なものだとリンゴも皮を剥いて放置すると褐変します.切ったアボカドにレモン汁をつけると褐変せず,しばらく綺麗な色を保てます

平澤らは,褐変に抗酸化成分であるポリフェノールが関与していることから,果肉や種子が強く褐変するアボカドには,たくさんのポリフェノールがあると考えて研究しています.実験ではアボカドの抗酸化活性とポリフェノール量,食物繊維量を調べています.

平澤ら,アボカドの食物繊維およびポリフェノールの分析と機能解析,2008年

食物繊維量

まず,食物繊維量についてです。

アボカド果肉(可食部100 g当たり/無水物)の食物繊維含量は,水溶性食物繊維5.23±0.53 g(n=3),不溶性食物繊維は11.3±0.71 g(n=3)であった.

平澤らの報告からはアボカド種子の食物繊維量は不明ですが,果肉だけでも多いことがわかります.
食物繊維の1日あたりの摂取目安は,女性17 g以上,男性19 g以上とされています.
アボカド一個(食物繊維:約16 g)で,およそ一日分の食物繊維を摂取できます

なお,大塚製薬の食物繊維一覧では,生の果物の中でアボカドが一番食物繊維が多いとあります.しかし,食物繊維量が平澤らの報告と3倍近く違うためアボカドの時期や品種によっても食物繊維量は変わってくるのかもしれません.

大塚製薬 食物繊維を摂ろう!〜意外と知らない食物繊維〜

追記:アボカドの種の食物繊維に関する報告がありました。

The ASF preparation was found to contain 34.8±3.4 g dietary fiber/100 g DW sample, which is relevant in this study, since the natural gel-forming or viscous fibers (pectin, gums, mucilage, algal polysaccharides, some storage polysaccharides, and some hemicelluloses) are water-soluble and resistant to digestion by human gastro intestinal enzymes that are part of the dietary fiber.

Pahua-Ramosら,Hypolipidemic effect of avocado (Persia americana Mill) seed in a hypercholesterolemia mouse model., 2012年

ASFはアボカド種子粉末のことです.
DWは乾燥重量のことです.

Pahua-Ramosらの報告によると,アボカド種子粉末には100 gあたり約34.8 gの食物繊維が含まれています.この食物繊維量は,チアシードと同量の食物繊維であるとPahua-Ramosらは報告しています.

*注意点*
この文献の食物繊維量は,アボカドの種子を”乾燥”粉末にしたものです.つまり,いつも食べているアボカドは”なま”であるため,なまの種子の水分量がわからないと正確な食物繊維量はわかりません.もしくは,食物繊維の種類とその1 gあたりの保水量がわかれば,おおよその食物繊維量がわかります.

抗酸化物質量

平澤らの文献からアボカドの抗酸化物質量に関する記述です.

総ポリフェノール含量はカテキン相当量として算出すると試料 1 mg中に最も多く含まれているのは,完熟果皮(126.6 μg),次いで未熟果皮(74.0 μg),未熟種子(37.0 μg),完熟種子(30.4 μg),未熟果肉(3.11 μg),完熟果皮(2.9 μg)の順であった.

私たちが普段食べている果肉の部分は,果皮や種子に比べてポリフェノールが少ないことがわかります.

ポリフェノール組成をHPLC分析したところ,クロロゲン酸19.6%,エピカテキン11.8%,カテキン10.8%の他にエピガロカテキン,レゾルシノール,没食子酸,ヒドロキノンの7種が推定された.

アボカドはクロロゲン酸とカテキンやエピカテキンを含むことがわかります.
クロロゲン酸はコーヒーに多く,カテキンやエピカテキンは緑茶に多く含まれています.これは,松坂らの報告からもアボカド種子にカテキンを含有することがわかります.

松坂ら,アボカド種子中の抗酸化成分,2003年

各種機器分析により,既知物質(+)-カテキンと(-)-エピカテキンを同定した.

平澤らの報告ではアボカドの種子を凍結乾燥し,熱水抽出した試料からカテキンを含むポリフェノールを同定していることから,松坂らの報告と合わせてアボカド茶にはカテキンが入っている可能性が高いです.

抗酸化活性

次にアボカドの抗酸化活性について平澤らの報告から考えます.

総ポリフェノール含量とDPPHラジカル捕捉活性による抗酸化能との間にはr=0.98という高い相関が認められた.

アボカドのポリフェノールが抗酸化活性に関係していることがわかります.しかし,インビトロ(試験管レベルの実験)のため,この抗酸化活性がヒトに対してどのような影響を示すかは不明です.

アボカドの果皮は抗酸化活性が強く,ポリフェノールの多い材料ですが,今は捨てることしかできません.食べようと考えても果皮には農薬が残っている可能性があります(断定はできません).
このため,アボカドの果皮の利用は難しく,果皮を利用するためには,栽培・運搬の段階から果皮の食用を考慮する必要があると言えます.

*ちょっと補足*
HPLC:high peformance liquid chromatography, 高速液体クロマトグラフィー
液体中の成分を分析する手法です.よく使われています.成分によって,他にもLC-MSやGC-MSなどの分析方法が使われます.

話は少しそれますが,健康食品のパッケージに書いてある「ポリフェノール」は一つの成分ではなく,成分の総称です.ポリフェノールのポリは複数,フェノールはベンゼンにヒドロキシル基がついた化合物です.
このため,ポリフェノールには種類があり,食品によって”カテキン”や”アントシアニン”といった化合物名が表示されています.

*注意点*
抗酸化と呼ばれる作用が実際に体に良いのか,また悪いのかはっきりさせることはできません.効果がある/効果がないの両説存在します.

アボカドとアルツハイマー

Obohらの研究によると,水で抽出したアボカドの葉と種に,アルツハイマーに関連する酵素の阻害効果を発見しました.
*全てインビトロ(試験管レベルでの試験)で結果であり,ヒトでも効果があるかどうかは,今後の研究で判断します.

The anti-cholinesterase and antioxidant activities of avocado leaf and seed could be linked to their phytoconstituents and might be the possible mechanisms underlying their use as a cheap and natural treatment/management of AD. However, these extracts should be further investigated in vivo.

Obohらは, アルツハイマーを進行させると考えられている酵素をアボカド葉と種子が阻害したと報告しています.
その酵素は,アセチルコリンエステラーゼ,ブチリルコリンエステラーゼです.

あくまで可能性ですが,アボカドの種で作るアボカド茶にも,この報告にある成分が入っているかもしれません(実験し,確認する必要があります).
また,アルツハイマーは誰もが罹患する可能性があります.その予防方法や治療薬は今も研究が続けられていますが,完治させる方法は分かっていません.

アルツハイマーの代表的な治療薬にドネペジル(アリセプト)があり,アセチルコリンエステラーゼ阻害薬として知られています.

Obohらの報告のアボカド水抽出物によるアセチルコリンエステラーゼ阻害試験がドネペジルの作用と同じであるとは言えませんが,アルツハイマーの治療薬の候補がアボカドから見つかるかもしれません.

アボカドの残留農薬について

成分を調べるとアボカドの果皮もお茶として利用できれば,余すことなく栄養を取れそうです.しかし,農薬の影響が最も大きいと考えられるのが果皮です.また,アボカドは国内生産量が極めて少なく,輸入品が主な入手経路になるため,輸送中の農薬が心配されます.
過去にはアボカドの残留農薬に関する問題が生じていました.

(厚生労働省より:http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000013quj.html

そこで,残留農薬に関する文献から,残留農薬に関する情報を一部紹介します.

*注意点*
以下はアボカド以外の果物やスパイス,ハーブに関する文献も含めて考えられることをまとめています.必ずしもアボカドに他の果物やスパイス,ハーブと同じ傾向が当てはまるとは限りません.

まず,どの程度残留農薬が残っている可能性があるかを小林らの文献から考えます.

小林ら,輸入スパイスおよびハーブ中の残留農薬実態(1997年4月〜2011年3月)., 2013年

”農薬が検出された輸入スパイスおよびハーブを喫食した場合の農薬の推定摂取量を算出し,ADIと比較したところ,いずれも各農薬のADIの1%未満であり,通常の喫食による健康影響はないものと考えられた”

このような記述があります.

アボカドの残留農薬に関する問題が解決した現状では,ADI(1日許容摂取量)に達していない限り健康問題は生じないと考えられます

次に,残留農薬が果皮から果肉へ移行するのか(皮から実に染み込むのか)について,永山らの文献から考えます.

永山ら,果実類に使用された農薬の果皮及び果肉中の濃度., 2009年

従って,レモンにおける農薬の果肉への移行は,イマザリル及び2,4-Dが最も移行しやすく,次いでNAC,クロルベンジレート及びCNA,クロルピリホスの順と推察される

*注意点*
これはレモンやグレープフルーツ,オレンジ,バナナ等を使った検証結果から得られた知見です.

それぞれの農薬の種類は以下の通りです.

イマザリル:エニルコナゾール(イミダゾール系防カビ剤)
2,4-D:2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(フェノキシ酸系除草剤)
NAC:カルバリル(カーバメイト系殺虫剤)
クロルベンジレート:日本での農薬登録は1994年に失効(有機塩素系殺虫剤)
CNA:ジクロラン(有機塩素系殺菌剤)
クロルピリホス:(有機リン系殺虫剤)

特に水溶性のものを除いて,農薬は果皮から果実への移行が考えられます.

アボカドにはどのような農薬が使われているか,北川らの文献から考えます.

表2 輸入農産物中の残留農薬の検査結果一覧(農産物名アボガドの項目)検出数0

北川ら,輸入農産物中の残留農薬の検査結果-平成19年〜平成21年., 2010年

検疫所におけるモニタリング検査の結果,メキシコ産生鮮アボカドから基準値を超えるアセフェートを検出したことから,検査命令を実施するもの

厚生労働省,輸入食品に対する検査命令の実施について〜メキシコ産アボカド,その加工品〜., 2011年

厚生労働省より,アボカドに使われている農薬のアセフェートは有機リン系殺虫剤です.

永山らの報告から有機リン系は他の農薬と比べ,果皮から果肉へ移行しにくいと考えられます.また,詳果肉を調べた北川らの報告では果皮の処理について前処理方法に記述がないため不明ですが,おそらく果皮の除去が検出数0に繋がったのではないかと思われます.

アボカドで普段に食べている果肉は,農薬の心配がないと考えられます.
ただし,果皮の利用は難しそう
です.

この記事はもりぽろが書きました.
ご指摘等ございましたら,コメント欄よりお願いいたします.
(編集:もりけろ)

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